2010年5月1日土曜日

歌舞伎座のない歌舞伎時代

歌舞伎座のない歌舞伎時代

 三年間ではあるが、歌舞伎座のない歌舞伎時代に入った。もっとも大きな問題は、現在のところ、他の劇場で一幕見の制度が設けられていないところだと思う。
学生のとき、三階のB席で観るのがもっとも多かったが、もう一度観たいと思った演目は、一幕見を利用して二度三度、見直すことが多かった。
 まして現在のような経済状況だと、歌舞伎の価格設定で、三階とはいえ二度三度見ることのできる若い世代はなかなかいないと思う。
たかだか、三年ではあるが、この空白のなかで、歌舞伎を集中的に観たい観客にとって、一幕見の欠如は痛い。
 昨日、東京芸術劇場の芸術監督となった野田秀樹の事務所をあずかるプロデューサーと話していたが、現代演劇においても、チケット代の高騰によって、若年の演劇離れが著しく、なんらかの対策を打たなければいけないという話になった。
歌舞伎においても、同様の問題が起こっている。
 現代演劇に較べると演じる側の世代交代は、着実に行われてるにもかかわらずに、観客を育成する方策に欠けている。
 不入りの公演で、関係者をたどり切符を幕のではなく、すべての公演で、アンダー18、ないしはアンダー22を半額にするなど、思い切った方策が必要なのではないか。
この決断に踏み切ることが、次の十年、二重年の観客を育てるために有効な策である。このために公的な助成を入れることは、会社の自主性をそこなうものではない。
 私自身も働きかけをしてみようと思う。